HOME / Distributions / ScientificLinux-FAQ / General
このページにない RHELクローン特有の FAQ については、WBEL、CentOSのFAQへ。
フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)と欧州原子核共同研究所(CERN)の両素粒子物理学研究所が Linuxクラスターを構築する必要に迫られて開発した Linux ディストリビューションです。White Box Enterprise Linux 同様、大手ベンダーがリリースした Enterprise 向け Linux ディストリビューションより、同社の商標に関する部分を削除し、ソースコードから再コンパイルした無償のディストリビューションです。
リリース版が公開されて以来、世界各地の研究機関や大学施設で利用されてきました。バージョン3.0.1の公開に当たって、名称が Fermi Linux から Scientific Linux へと変更されましたが、Fermi Linux よりも以前には HEPL (High Energy Physics Linux) という名称が付けられていました。
このディストリビューションは、一般ユーザーに無償で公開されています。
Scientific Linux (SL) の 2020.12.20 現在の最新リリースは、SL 7.9 と SL 8.3 です。下記 SL 4.3 と SL 3.0.7 は終了しましたが参考として掲載しています。
項目 | SL 3.5 | SL 4.1 | SL 4.2 |
リリース年月日 | 2005/07/25 | 2005/08/06 | 2005/11/22 |
サポートCPU | X86(Pentium以上)/X86_64(AMD64 /EM64T) X86(Pentium以上)/X86_64(AMD64/EM64T) | ||
標準の Linux カーネル | kernel 2.4.21 | kernel 2.6.9.11 | kernel 2.6.9.22 |
インストールに必要なCDメディア | 3枚 | 4枚 | |
自動アップデートツール | APT / YUM | ||
標準の GUI アップデートツール | Synaptic / Yumi | Synaptic | Synaptic / YumEX |
GNOME 環境 | GNOME 2.4 | GNOME 2.8 | GNOME 2.8 |
標準の日本語入力環境 | Kinput2 + Canna | ||
英語から日本語入力への切替 | Shift + Space / Ctrl + Space | ||
Mozilla ウェブブラウザ | Mozilla 1.7.10 | Mozilla 1.7.10 | Mozilla 1.7.8 |
Firefox ウェブブラウザ | なし | Firefox 1.0.6 | Firefox 1.0.7 |
Evolution メーラー | Evolution 1.4.5 | Evolution 1.4.6 | Evolution 2.0.2 |
OpenOffice.org オフィススイート | OOo 1.1.0 | OOo 1.1.1 | OOo 1.1.2 |
GIMP 画像処理 | GIMP 1.2.3 | GIMP 2.0.5 | GIMP 2.0.5 |
Scientific Linux には、モデルとなった Enterprise 向け Linux ディストリビューションに含まれない独自のパッケージが追加されているので、これが特徴といえるでしょう。
パッケージ名 | パッケージの簡単な説明 |
anacron | A cron-like program that can run jobs lost during downtime. |
cdda2wav | : A utility for sampling/copying .wav files from digital audio CDs. |
gv | A X front-end for the Ghostscript PostScript?(TM) interpreter. |
icewm | Fast and small X11 window manager |
jpilot | Jpilot palm pilot desktop software |
ksh93 ncurses4 | A backwards compatible version of ncurses. |
openafs openafs-client openafs-compat openafs-devel openafs-firstboot openafs-kernel-source openafs-kpasswd openafs-krb5 openafs-server | OpenAFS distributed filesystem |
pcp | System-level performance monitoring and performance management. |
pine | Commonly used, MIME compliant mail and news reader |
readline41 | A library for editing typed in command lines. |
sndconfig | The Red Hat Linux configuration tool for legacy sound cards. |
xcdroast | An X Window System based tool for creating CDs. |
xmms-mp3 | MP3 plugin for XMMS. |
yum yum-conf | RPM installer/updater |
SL 7 のインストールは Scientific 7 のインストールに関する項目を見てください。
SL 4 の標準的なグラフィカルなインストールは、 Scientific Linux
のインストール手順(日本語)に従って行えます。
ダウンロードした ISOイメージからインストール用CD作成してインストールする以外に、直接ネットワーク(FTP)インストールすることも可能です。
インストールするタイプ | 必要とするハードディスクの容量 |
パーソナル・デスクトップ | 2,500 MB |
ワークステーション | 3,100 MB |
サーバー | 960 MB |
すべてインストール | 6,300 MB |
なお、 file:///mnt/cdrom/RELEASE-NOTES.html ディレクトリーにあるマニュアルは、インストール時に役立ちますので、参照してください。
iso のディレクトリーには CDの isoイメージしかありませんが、CD の isoイメージを全部 binary ftp
でコピーした後、以下のスクリプトを実行すると DVD の isoイメージが作成されます。
/scientific/303/iso/i386/make.dvdiso.sh
このDVD isoを作るスクリプトは例えば以下にあります。
ftp://ftp.riken.go.jp/Linux/scientific/303/iso/i386/make.dvdiso.sh
はい。ライブCDは、現在公式なリリースに含まれています。
Scientific Linux Live CD and DVD
Scientific Linux Live System
このライブCDは、Paul Scherrer
Institute で開発され無償配布されています。
2006.05.21 現在、このライブCDは公式リリースとして取り込まれました。2020.12.20 現在、最新バージョンは Scientific Linux Live CD 7.9 です。
これは、フェルミ国立加速器研究所の事情が関わっています。Scientific Linux を作ることが計画された当時、いろいろと議論が起こりました。その中で最も重要とされたのは、最低3年間はサポートを行うこと、インストールやセキュリ ティ更新が容易なことでした。 -- ( 原文参照:https://www.scientificlinux.org/documentation/faq/general1 )
Scientific Linux の開発に携わっている主な研究者は、以前から Fermi Linux の開発を行ってきました。Fermi Linux の経緯を見れば、その数年(少なくとも6年間)間に及ぶ成果を知ることができます。現在のところ、Fermi Linux は Scientific Linux を基盤にして開発されてきたので、開発者は Scientific Linux が消えて無くなるようなことにはさせないでしょう。この点については、現在だけでなく将来も同じことです。ただしこれはあくまで計画ですから、それを保証 することは不可能です。たとえば、元のエンタープライズ・ベンダーからソース RPM の提供を受けることができなくなった場合です。それ以外の事情も影響するかもしれません。 -- ( 原文参照:https://www.scientificlinux.org/documentation/faq/general1 )
なお、同様なプロジェクトとして CentOS が存在します。Fedora Project には、その公式な一派生プロジェクトである Fedora Extra に Fedora Extras Steering Committee として CentOS の有力なメンバーが参加している関係から、このディストリビューションの今後についても、突然元のエンタープライズ・ベンダーからソース RPM の提供を受けることができなくなるような事態が発声するとは考えにくいと思われます。
はい、あります。Scientific Linux は、"Conseil Europ醇Pen pour la Recherche Nucl醇Paire" (CERN) と Fermi の共同開発によってもたらされたという経緯があります。 ScientificLinux-FAQ/Resources には、 CERN に関する項目があります。
CERN のウェブサイトにも、Scientific Linux CERN 3 (SLC3) に関する情報が掲載されているので、参照してください。
これら3つの Linuxディストリビューションは非常に密接な関係にありますが、判りやすく説明すれば、このイラスト のようになるようです。
詳しくは CEL3 and Scientific Linux の説明を読んでください。
簡単に言えば、これはアップデートパッチの検証を行う必要があるためとされています。パッチの不具合はシステムの破壊につながる可能性があるため、 慎重を期しているものと思われます。ただし、緊急性を要するものに関しては直ちにリリースされることもあります。
なお、アップデータ(Errata)は必ず継続的に提供することとされています。詳しくは、アップデートに関するポリシーが載っている ページ を見てください。
いいえ。
Fermi の LTS(Long Term Support)ポリシーに従い、以前のバージョン 3.0.1 / 3.0.2 / 3.0.3
のアップデートサポートは、引き続き提供されることになります。最新版にアップグレードするか否かは、ユーザーの自由です。
2020.12.20 現在サポートされているリリース版は Scientific Linux 7 です。サポート・ポリシーによれば、リリースの最新マイナーバージョンで保守することを推めています。
参照: We will continue to publish security packages for older releases
for the lifecycle of the major version. So, if you are SL 7.3 you will
continue to receive security updates in the ‘security’ repo for the life
cycle of SL 7. These updates are simply the newest release of the
associated package. We encourage you to update to the ‘x‘ release to
receive the various bugfixes available in non-security packages as well.
We cannot be sure how the updated security packages will behave on an
older system. Unless they are required, older releases do not receive
bug fix packages.
-- https://scientificlinux.org/documentation/faq/faq-updates/#older-releases
SL 7 のサポート終了日 (End-of-life) は 2024年6月30日の予定です。アップストリームの終了日と合わせているだけで、実際の終了日は前後するかも知れません。
なお、以下の古いバージョンはすでに終了しました。
Scientific Linux の LTS (Long Term Support) は、それぞれリリースされた直後から、3年間セキュリティ・フィックスを提供する予定となっています。
なお、Scientific Linux と関係がある Scientific Linux Fermi については、以下のとおり公式ウェブブサイトに明記しています。(2005.10.21 現在)
October 21, 2005 - Fermi_Linux_Support_Structure.html